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俺はそんな悪態をつきながら雪道を歩いていた。
「あれ、みつるくんどうしてここに?」
聞きなれた声に顔を向けると、なつみさんがいた。
ぼーっとして顔が赤い。
「なんでこんな所に・・・・・・」
「うん、祐花ちゃんと待ち合わせ」
「祐花は今日は雪だから帰るって言ってたぞ」
「え・・・・・・そうなんだ」
「携帯見た?」
「あ・・・・・・本当だ。今日、これないってメール。そうだよね、うっかりしてたなぁ」
「大丈夫? 顔赤いぞ」
「ん、平気。じゃあね、みつるくん」
「あ、ああ」
俺は呆然と立ち尽くしながら彼女が行ってしまうのを見送った。
その後で、泣いていたらしかった彼女をそのまま行かせてしまった自分をしばし責める事になる。
もう少し話を聞くべきだったのではとか、体調が悪そうなのに送らなくて良かったのか、とか
頭の中の俺はずいぶん勇ましい。
しかし、いろいろと想像してみても後の祭りだった。この後、なつみさんは風邪をこじらせてしまったのだから。
場所:白壁土蔵 冬
山陰は毎年雪が多く降る。緯度は北緯35度と豪雪地方に比べれば低い方だが冬の日本海から吹き付ける風はとても寒い。倉吉では12月から2月にかけて雪が降り、数十センチ積もる事もある。しかし悪い事ばかりでは無い。雪は打吹山や白壁の街並みを美しく彩り、普段とは異なる景色を見せてくれるからだ。
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待ち人は来ず~白壁土蔵 冬~
俺はそんな悪態をつきながら雪道を歩いていた。
「あれ、みつるくんどうしてここに?」
聞きなれた声に顔を向けると、なつみさんがいた。
ぼーっとして顔が赤い。
「なんでこんな所に・・・・・・」
「うん、祐花ちゃんと待ち合わせ」
「祐花は今日は雪だから帰るって言ってたぞ」
「え・・・・・・そうなんだ」
「携帯見た?」
「あ・・・・・・本当だ。今日、これないってメール。そうだよね、うっかりしてたなぁ」
「大丈夫? 顔赤いぞ」
「ん、平気。じゃあね、みつるくん」
「あ、ああ」
俺は呆然と立ち尽くしながら彼女が行ってしまうのを見送った。
その後で、泣いていたらしかった彼女をそのまま行かせてしまった自分をしばし責める事になる。
もう少し話を聞くべきだったのではとか、体調が悪そうなのに送らなくて良かったのか、とか
頭の中の俺はずいぶん勇ましい。
しかし、いろいろと想像してみても後の祭りだった。この後、なつみさんは風邪をこじらせてしまったのだから。
場所:白壁土蔵 冬
山陰は毎年雪が多く降る。緯度は北緯35度と豪雪地方に比べれば低い方だが冬の日本海から吹き付ける風はとても寒い。倉吉では12月から2月にかけて雪が降り、数十センチ積もる事もある。しかし悪い事ばかりでは無い。雪は打吹山や白壁の街並みを美しく彩り、普段とは異なる景色を見せてくれるからだ。
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