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二人でいる事。それは人が一番、心を近づけられる関係。鳥取県倉吉市の別々の高校に通う二人の女の子の物語

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きみとわたしの物語~いきつけの喫茶店にて~

喫茶店

「だからもうだいじょうぶだよユカちゃん」
「だってなつみ・・・・・・」

さっきから謝られてばかりだ。
メールを見忘れていたのも、風邪を引いたのも全部私が悪いのに・・・・・・
まぁこの感じだと、みつるくんがかなり大げさに話したのだと思うけど。
でも、こうやって気にかけてもらえるのって、やっぱり嬉しい。

「ちょっと何笑ってるのよ、なつみ」
「なんかいいなって」
自然と顔がほころんでしまう。
「何よ、調子狂うなぁ」

「別にそんな深刻な悩みがあるわけじゃないんだよ、ユカちゃん」
それは本当だ。ただ積もりに積もった頭の中のもやもやはユカちゃんにもうまく説明できず、心配をかけてしまった。

「私ね、ユカちゃんみたいな学校生活を送りたくてがんばったけど、うまくいかなくて」
「私が? 友達としゃべって適当にやってるだけだよ」

「そういうのがうらやましいんだよ。今の学校の生活、嫌いじゃないんだよ。いままでに無い事が起こるし刺激もあるし、でもなんだか空回りしてるって言うのかなぁ、疲れちゃって。そういう時、ユカちゃんと会うとほっとできるんだ」
「だ、だからそういう恥ずかしいこと言わないでよ」
・・・・・・
「だいじょうぶ? なつみ」
「うん、今の学校に来た事も、将来の事も、自分で決めた事だし」
「そっか、なんというか気のきいた事いえないけど、私、なつみの事、ちゃんと見てるからね」

「うん、ありがとう! 頼りにしてるよユカちゃん」
「本当に?」
「もちろん」

泣きそうな顔していたユカちゃんの顔がぱっと明るくなる。やっぱりいいなぁユカちゃんは。

「よーし、嬉しいから今日はケーキも行っちゃおう」
「あ、いいなぁ、私も・・・・・」
「駄目だよ、裕彦さんにまたなつみを太らせたって文句言われる」
「もーお兄ちゃんの言う事を真に受けないでよ!」

笑いあいながらとりとめのない会話をする。
みつるくんが死にそうな顔してたとか(後でフォローしとかないと)ユカちゃんちの猫のフーがまた太ったとか、小学生のいとこがませた事ばかり聞くだとか・・・・・・

こういう時間がとても嬉しい。前ばかり見て気ばかり張ってても駄目だよね。
4月から2年生になる。ちょっとだけ違う事をしてみようかな。
ユカちゃんみたいに部活とか。
抹茶ケーキをほおばりながらそんな事を考えた。


場所:喫茶店(久楽)
白壁土蔵群の中にある赤瓦5号館の喫茶店。石臼珈琲が有名。自分で石臼を挽く事が出来る。2階部屋は鴨居が低いので頭注意。
ちなみに祐花の母親も倉吉で喫茶店をしている。
ご協力:赤瓦五号館 久楽(くら),有限会社サンパック

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